S信用金庫T君の恋愛運を占う。
T君は同じ信用金庫の別の支店のある女性と知り合うこととなりました。
その後、彼女のほうから働きかけがあり、よく電話がかかってくるようになりました。デートも数回ほどしたそうです。
しかし、つきあい始めて半年たった今でもそれ以上の進展はないそうです。
彼女は美人です。性格もよさそうです。
T君自身は、自分はそれほどもてるタイプとは思えないとのことです。どうして彼女が自分に積極的なのか今一つ分かりません。確たる証拠はないのですが、ひょっとしたら何か(たとえば、二股とか失恋のあてつけとか)あるのかと思わないでもありません。
たとえ何かあるにしてもよくある話ではあります。しかし、T君の場合、たかが恋愛とかたずけることはできない事情があるのです。
金融の世界において職場での男女のおつき合いは、基本的には上司の紹介によるものです。結婚にいたれば上司が仲人をしますので部下との関係が深まるのです。上司にとっては子飼がふえるのことになるので、むしろ職場結婚は奨励されています。
もちろん、上司の仲介なしに勝手に恋愛するのもいいのでしょう。しかしその結果、職場内の恋愛関係でトラブルがおこると査定に響きます。お金を預かる商売なので信用が第一です。信用だけがすべてだといっていいでしょう。
ここでは恋愛・結婚も査定の一部なのです。離婚などはもってのほか。結婚しても子供ができないことですらマイナスポイントになるそうです。
そういうことですから、たとえ己の身が潔白でもうわさがたつだけでもだめなのです。
ここにT君の悩みがあります。
そこで易を立ててみたところ、山地剥の五爻を得た。
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ちなみにこの卦は1月21日に生命保険のおねえさんの恋愛運を占ったときに出た卦とはからずも同じものです。今回はどうでしょうか。
さて、この卦を見ますに、上爻の陽が一本残っているのみで、残りの五本は陰です。「易経」では小人(陰)の勢力がじわじわと増大して君子(陽)を圧迫しているのでしばらく止まっていたほうがよいといっています。
この場合は、陰の勢力が増大するということは女性からじわじわと誘いを受けるということを意味します。止まるというのは彼女に対してどういう態度をとったらいいか分からないというT君の状態を端的に表しています。
さて、彼女の心の内はいかがでしょうか。
五爻を見てみましょう。「宮人を以て寵せらる。利ろしからざるなし」とあります。宮女をひきいて王に寵愛される貞淑な后(きさき)のようなひとだから、悪いということはありませんよということです。しかも、宮女はいろいろいるのですが、それをひきいる后はひとりです。この人をおいて他はないということでしょう。
ゆえに、彼女の愛は本物であると易断します。
なにか訳があって、T君に誘いをかけているということではありません。おそらくはウブなだけでしょう。
それでは恋愛の進展はどうでしょうか。
上爻を見てみましょう。「碩(おお)いなる果(このみ)食らわれず」とあります。つまり、すぐには成果を得られないということです。
さらにこんなこともあります。「君子は輿(みこし)を得、小人は廬(いおり)を剥くす」。つまり、立派な人物はみんなから賞賛を得るけれども、そうでない人は屋根のうらまで剥がされるよう目にあうといっています。
いずれにしても、この恋愛は大変だということです。対応を間違えるとひどい目にあいます。
ちなみに今回は金融関係の方の裏話が分かり大いに勉強になりました。