九月十一日を境にして多くの人の心のあり方がかわりました。

そのなかで最も変わった重要人物といえばブッシュ大統領でしょう。これまでの軽率さが消え去り、毎日を祈りにささげているといわれています。

祈りのかいがあってかどうか知りませんが、タリバン政権は崩壊しました。世論調査によればブッシュ政権は依然として高支持率です。アフガン情勢は混迷の度合いを深めているとはいえ、第一段階では米国は勝利したわけです。

ブッシュ大統領は変わりましたが、それでは米国は変化したのでしょうか。
思えば、米国は京都議定書の一方的な離脱や時代遅れのミサイル防衛構想をぶちあげるなど、他国との協調を無視した孤立的で傲慢な国でした。

報復戦争においても、自らの戦いを「正義の戦い」と位置付け、テロとの戦いに立つのか、テロの側に立つのかといった単純な二分法をかかげる姿勢を崩していません。CTBT(核実験全面禁止条約)では大多数の国が賛成にもかかわらず、米国はかたくなに反対しています。

ところが、さきの国連総会ではブッシュ大統領はパレスチナ国家の創設を支持する姿勢をとりました。今後の米国の舵取りのしかたでは中東情勢にも改善の兆しが見えないこともありません。
また、米ロ首脳会談では、いくつかの問題があるとはいえ、お互いの戦略核の大幅削減が合意されました。非常にかすかとはいえ、新たな安全保障体制が出来上がりつつあるということかもしれません。

しかし、このような態度も報復戦争を戦うための一時的な方便に過ぎず、しばらくすればまた元の米国に戻ってしますのでしょうか。ひょっとしたら、もっと悪いことに、以前よりも傲慢さに拍車がかかり、テロ撲滅を口実にして他国を平然と恫喝する国になるかもしれません。

そこで、今後の米国のあり方を占うことにしました。

  *  *  *  *  *

地雷復の四爻を得た。

なんと、金総書記の命運を占った卦と同じものです。

地雷復はすべてが陰だったところに初めて陽が現れた象です。これ以降、陽がだんだんと増強します。一般的には、いったん衰えきった運気は上向き、願いは大いにかなうとされます。テロで打撃をうけた米国も運気を取り戻すということでしょうか。

小生はそのようには思えません。

復には再び返るという意味もあるのです。
易経にはこんなことが書いてあります。「先王もって至日に関を閉じ、旅商行かず。后(きみ)方(かた)を省みず。」(古代の聖王も冬至には関所を閉じ、商人を行かせないようにした。人君も四方の巡視を行なわないようにする。)
要するに、陽気がまだ盛んになっていないので自重せよといった意味です。この場合は関所を閉じたり巡視を行なわないわけですから、他国との協調を断つという意味になりそうです。

かつて、米国は温暖化防止や核廃絶といった地球規模の課題については、自国の利害と合致しなければ拒否するという態度でした。その態度を繰り返すということになります。

四爻を見てみましょう。「中行にして独り復(かえ)る。」とあります。
四爻は初爻の陽と応じていますから、他の小人(陰)と関係を断ち切って独り善に立ち返るという意味です。非常にいい意味です。

しかし、米国一国だけが善に返っても他の国々は困るでしょう。

深く考えますに、この場合の小人は悪い人の意味ではなく、米国よりも力の劣る他の国々ではないでしょうか。とすれば、米国は他の国々とは協調しないということになります。また、独り善に返るというのは独善という意味になるでしょう。

ゆえに、米国は今後も国際協調を無視し、以前と同じように単独行動主義を踏襲すると易断いたします。

なお、復という卦は四方から友達がやってくるという卦でもあります。傲慢で独善的でも、強大であればすりよってくるものが多いということでしょうか。
そうだとすれば、日本などはその最たるものということがいえるでしょう。

ちなみに、日本はさきの国連総会で「核兵器の全面的廃絶への道程」と題する核軍縮決議案を提出したそうです。その結果、賛成一二四、反対二、棄権二十でめでたく採択されました。反対したのは米国とインドだけでした。中国、ロシアは公然と反対するのは恥と考えたのか棄権しました。道義においては米国は中国、ロシアよりも劣る国なのでしょうか。

易の部屋に戻る